2019 Paris-Roubaix プレビュー

0

     

     

     

    先週末のロンド・ファン・フラーンデレンに続いて、今週末の4月14日(日)は第117回パリ〜ルーベです。

     

    「クラシックの女王」と呼ばれ、むしろ「北の地獄」としておなじみのパリ〜ルーベ

    257kmの総距離の中に54.5kmのパヴェ(石畳)区間があるレースです。

     

    モニュメントと呼ばれる5大クラシックの中でも最も注目度の高いパリ〜ルーベをプレビューしていきましょう。

     

     

    ※この記事は昨年の記事「あさってはParis-Roubaix です。」を再編集しています。

     

     

    今年のパリ〜ルーベもパリ北東の町コンピエーニュをスタートし、ベルギー国境に隣接する町ルーベまで走るコースです。

     

    さて「北の地獄」という呼び名がおなじみのパリ〜ルーベですが、そんな呼び方をされるのは、このレースの特殊性に由来しています。

     

     

    このレースのコースはコンピエーニュをスタートし、フランス北東部に点在するパヴェ(石畳)の道を繋いでルーベに至ります

     

    このパヴェ、パリの町中にあるような綺麗に整備された石畳ではありません。

    それは未舗装路にサイコロ状の石の塊を並べて埋め込んだだけというようなもので、長い時間の中で風化し、削れ、ガタガタに荒れた石畳です。

     

     

    その上を走る選手はひどい振動に痛めつけられるのですが、選手はこんなパヴェを今年は29カ所、総延長で54.5kmも走ります

    コース全体の1/5以上になる計算です。

     

    石畳にはカテゴリーが1つ星から5つ星まで設定されています。

    特に5つ星の3つのパヴェ、アランヴェール、モン・サン・ペヴェル、カルフール・ドゥ・ラルブルは非常に難易度が高く、必ず勝負どころになるパヴェです。

     

    荒れた石畳でただでさえバイクコントロールが難しいのに加え、パヴェの段差や鋭利な角のためにパンクが続発し、レースをパンクせずに終えられる選手は2割ほどとも言われています

     

     

    特殊性はそれだけではありません。

     

    このパヴェ区間、未舗装路に石を並べただけと言いましたが、つまり石畳の下は土です。

     

    プロトンが走れば、晴れた日にはもうもうと土煙が上がり雨の日には巻き上げられた泥に包まれます。

    晴れた日に強い横風が吹いたりなどすれば、もうまともに走れるような状況じゃありませんし、雨の日にはドロドロになった滑りやすいパヴェの上を慎重に走らなくてはなりません。

     

     

    まだあります。

    土煙や泥を浴びるとその土が自転車のメカ部分に詰まり、様々なメカトラブルを引き起こします。

    当然メカトラブルはバイクの交換が必要で大きなタイムロスになります。

     

     

    パンクやメカトラブルが起きた時、選手は集団後方にいるチームカーからサポートを受け、ホイールやバイクを交換してもらいます。

    しかしパヴェ区間では少しでも走りやすい路肩を走るために集団は一列棒状で走行しており、また選手の脇をサポートカーが通ることもできないので、選手はサポートカーの到着を長い時間待つ羽目になります。

    サポートカーを待てない選手はニュートラルのMAVICのオートバイからサポートを受けホイールを交換したり、

    また他のレースではほぼあり得ないのですが、自前のホイールを持った地元のサイクリストからホイールを借りたりなどしてレースに復帰します。

     

    パンクやメカトラはまだいいのですが、一番怖いのは落車です。

    ガタガタの石畳にはプロの選手でもバイクコントロールを失います。

    コントロールを失い落車すると、選手は鋭利な石畳にたたきつけられ打撲やひどい時には骨折、それがなくてもひどい擦過傷を負い、レースを棄権する羽目になります。

     

     

     

    不確定要素はパヴェだけではありません。

     

    パリ〜ルーベのレース中には踏切を通過する箇所がいくつかあるのですが、UCI(国際自転車競技連合)の規則に「遮断機が降りている時,閉じている時,警報が鳴っている,点滅している時,に平面交差の踏切を 通過することは禁止する.」と明記されています。

     

    逃げの選手が通過した後に踏切が閉まり集団が停められたとしても、単なるインシデント(事故に至らない事件)として処理され集団に救済はないので、それによって逃げ切りが決まったりということもあります。

     

    また、規則を破って遮断機が降りかけている踏切を通過した時、その選手は失格になります。

    2006年の大会では3人の選手が失格になりましたし、2015年にも集団が踏み切りで分裂され、あわや列車事故という事態も発生しました。

     

     

     

     

    このように他にはないとても特殊なレースなのですが、それがこれほどまでに愛されるのは、やはりその特殊性故なのでしょう。

     

    またベルギーにほど近いこの地域は、Flandre française(フランス領フランドル)と呼ばれる伝統的にフラマン語圏の地域です。

    パリ〜ルーベ自体も優勝者で一番多いのはベルギー人です。

    フラマンは自転車競技の人気が高く、沿道の観客は先週のロンド・ファン・フラーンデレンでもたくさん見られた黄色地に黒く獅子の描かれた旗を振って選手を応援します。

     

    そんな光景も実に美しく、パリ〜ルーベが愛される理由の一つと言えるでしょう。

     

     

    他にもパリ〜ルーベの見どころはたくさんあります。

     

    例えばそのトラブルの多さのために、一般的なアシストがエースを守りながら勝利を目指すというやり方が通用しません。

    エースは自らリスクを取り、トラブルを避けるために風の抵抗の強い先頭を引き、アタックに反応するために荒れたパヴェを追います。

    結局このレースに勝つためにはつねに前方に位置し、積極果敢に走り続けるしかないのです。

    それでもパンクやメカトラでレースから脱落してしまうのは完全に運。

     

    つまり最強の運と並外れた強さを兼ね備えた選手だけが勝つことができるレースなのです。

     

     

     

    そしてもう一つ特殊なこのレースで注目すべきは機材です。

     

    パヴェを走るために普段では使わないスペシャルな機材が投入されます。

     

    例えば振動吸収性に優れていたり、普段よりアップライトなジオメトリのバイク。

    信頼性を第一にチョイスしたパーツ類。

    泥詰まりに強いカンチブレーキ。

    28Cなど普段より幅広のタイヤ。

    むしろ最近は端からシクロクロス用のバイクを使ったり。

    サスペンション付きのバイクも出てきています。

     

    そんなパリ〜ルーベだけで見られる様々な特徴ある機材を見るのはとても楽しいです。

     

     

     

    今年の優勝者は誰でしょう。

     

    筆頭はもちろん昨年の優勝者ペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)です。

    ただ、今年はティレーノ〜アドリアティコの開幕前に患った感染症の影響がまだ続いているのか、精彩を欠いたレースが続いています。

     

    このレースが春の目標なのは間違いないと思いますので、復活を期待したいですね。

     

     

    一昨年の優勝者で、今年のフランドル・クラシックで好成績を残しているグレッグ・ファンアーヴェルマート(CCC)も有力な優勝候補です。

     

    オムループ・ヘットニュース・ブラットが2位、E3ビンクバンククラシックが3位、ロンド・ファン・フラーンデレンが10位と惜しくも優勝には届いていないですが、最終局面まで確実に残ってきています。

    トラブルにあわなければルーベまで先頭集団で展開できる可能性は高いです。

     

     

    今年好調といえばズデネク・スティバール(ドゥクーニンク・クイックステップ)

    オムループ・ヘットニュース・ブラットとE3を優勝し、ストラーデ・ビアンケでも4位と好走しています。

    シクロクロス元世界チャンピオンということで、未舗装路やパヴェのような荒れた路面は得意にしていますね。

     

    過去に2回のパリ〜ルーベ2位がありますし、ドゥクーニンク・クイックステップの戦略がはまれば優勝は十分にありそうです。

     

     

     

    元シクロクロス世界チャンピオンといえば、ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ)も可能性を感じさせる1人です。

     

    プロコンチネンタルチームから参戦した昨年は12位でしたが、ワールドチームに移籍した今年はストラーデ・ビアンケ3位、ミラノ〜サンレモ6位、E3ビンクバンククラシック2位と惜しいレースが続いています。

    ロンド・ファン・フラーンデレンでも先頭集団に残っての14位でした。

    期待できる選手の1人ですね。

     

     

    その他にも、昨年2位のシルヴァン・ディリエ今年ミラノ〜サンレモで2位表彰台に登ったオリバー・ナーセン(ともにAG2R)昨年のツールでルーベにゴールする石畳ステージで優勝したジョン・デゲンコルブ(トレック・セガフレード)ロンドでもいいところを見せていたマッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)昨年のストラーデ・ビアンケを優勝したティシュ・ベノート(ロット・スーダル)ロンドで3位表彰台に登ったアレクサンドル・クリストフ(UAEチームエミレーツ)辺りが優勝候補と言っていいでしょう。

     

     

    この中で1人を予想するのはとても難しいですね。

     

    サイクルロードレースの解説陣ではスティバールの人気が高いようですね。

    スティバールはスプリントもありますし、テクニックもあるのでパリ〜ルーベ向きですよね。

    ただここ数レース、ドゥクーニンク・クイックステップの戦術が不発に終わっているのが気になります。

     

     

    僕はもうひとりの元シクロクロス世界チャンピオン、ワウト・ファンアールトを推します。

    彼もスプリント力がありますし、最後まで先頭に残れればチャンスがあると思います。

    それに、残り2kmくらいで誰かがアタックを掛けた時に、彼はお見合いしないで追えるんですよね。

    ライバルのマチュー・ファンデルプール(コレンドン・サーカス)はこのレースはいないですし、鬼の居ぬ間じゃないですけど優勝を期待できるんじゃないかって思います。

     

     

    第117回パリ〜ルーベはJSPORTS4JSPORTSオンデマンドにて、4月14日(日)17時55分から生中継されます。

     

    今年はどんなレースになるか本当に楽しみですね!

     


    コメント
    コメントする








       

    shop site

    Wednesday Bicycle Happy!!

    selected entries

    search this site.

    others

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM